メキシコのテマスカル旅に行ってきた、TABISAUNAのりおです。
今回の旅では全部で6つの異なるテマスカルに巡ってきました。
現地在住の通訳なゆたさんと現地カメラマンのマックスに協力していただき、今回テマスカルの魅力を伝えていけばと思います。
一番最初に訪れたテマスカルは伝統的なテマスカルの文化や歴史などを教えてくれるとこでした。
エンリケ&アレハンドラの2人のフレンドリーな夫婦がやっているテマスカルに行ってきました。


自宅の庭にテマスカルがあり、ビックリしました。まず一番最初に巡ったオアハカにあるテマスカルを紹介していきたいと思う。
- 1 そもそもテマスカル(メキシコのサウナ)とは?
- 2 先導者がアテンドしてくれるサウナ
- 3 東西南北の神々に対しての祈りのセレモニー
- 4 浄化を目的でコーパルを使い煙を身体に燻す
- 5 いざテマスカルの中へ(母なる大地の子宮へ)
- 6 1時間半の溶岩を炎の中で
- 7 13個のサウナストーンの意味はマヤの暦から
- 8 マヤ・アステカ暦とテマスカルの関係
- 9 テマスカルは4つの世界を体感する
- 10 サウナ中で歌を一緒に捧げる
- 11 サウナ中で炎のセレモニー儀式
- 12 メキシコでもウィスキング文化ある?
- 13 水風呂は温かい薬草の水
- 14 最後はフルーツたっぷり
- 15 相反する2つのものが一緒にあるオメテオトルの存在
- 16 テマスカルの中での重要な意味「調和とバランス」
そもそもテマスカル(メキシコのサウナ)とは?
まだあんまり聞いたことない人が多いと思うので軽い説明してから、自分が巡ったテマスカルの体験談を載せようと思う。
テマスカルとはメキシコや中南米に古くから伝わる伝統的な蒸気浴の一種。古代マヤやアステカの文化に深く根付いていて、その名前はナワトル語(アステカの言語)の「Temazcalli」に由来し、「蒸気の家」という意味で土や石で作られたドーム状の小屋の中で、焼けた石に水やハーブをかけて蒸気を発生させます。

簡単に言うと、メキシコの伝統的なサウナなんですが、単なるリラクゼーションではなく、メキシコの先住民、古代マヤやアステカの人々が精神的・肉体的な浄化を目的とした神聖な儀式としてテマスカルが使われてたみたい。

古代の治療法の一つとされていて、出産後の女性や戦士の回復、病気治療などにも利用されてたんだって。また、儀式としての側面もあり、祈りや自然への感謝の場として重要な役割を果たしていたらしい。
最近では、スパやリトリート施設などでテマスカルを体験できる場所も増えている。
先導者がアテンドしてくれるサウナ
普通のサウナと比べて、何が一番違うかと解説すると、
シャーマンもしくはtemazcalero(テマスカレロ)と呼ばれる先導者が一緒にアテンドしてくれるサウナで

テマスカルでは、大まかに最初にセレモニーがあり、テマスカル中で石にみずをかけたり、歌を歌ったりして身体や心の浄化をする感じ。サウナ入る目的はもう少しディープな意味があるって感じかな。ただととのうために入ると言うよりは、
大体全部で1時間〜2時間くらいって感じで、場所によってはそのあとマッサージしてくれる場所もある
そして、興味深かったのが、方角に祈りをするセレモニーがサウナ(テマスカル)に入る前にあること。詳しく説明していこう!
東西南北の神々に対しての祈りのセレモニー
東、西、南、北に先祖たちが見てたものがあるとされている。
4つのエレメント、炎、土、水、風の概念がある、

黄色(風・光)-東、赤(火)-西、黒(闇、大地、土)-北、青(水)-南を表す。
方角の神様、生き物、守り神、意味がある
テマスカルのセレモニーで、四つの方角にはそれぞれ異なる神々が関連付けられており、それぞれが特定のエネルギーや象徴を持っています。四つの方角は、自然界や宇宙の調和を示し、テマスカルにおける浄化と蘇生のプロセスにおいて重要な役割を果たします。これからは、その四つの方角と関連する神々についてのお話です、なんか神話的でかなりロマンのある感じです。
黄ー東ーケッツァルコアトル
青ー南ーウイツィロポクトリ
赤ー西ーヒペトテク
黒ー北ーテスカトリポカ
北(テスカトリポカ ):
北の神「テスカトリポカ」黒

アステカ神話における極めて重要な神、ナワトル語で「煙を吐く鏡」彼の名前の由来である黒曜石の鏡を持ち、この鏡には煙が立ち込め、未来を見通す力があるとされている、闇、運命、戦争、魔術、試練を司る存在です。世界の創造と破壊に関与する強力な神とされました。創造神、戦争の神、運命の神、闇と誘惑の神ジャガーになり、第一の世界を支配し、終焉をもたらした神しばしばジャガーの姿をとることから「ジャガーの神」ともされている
北は「冷気」と「知恵」を象徴し、通常は死後の世界や過去の神々と関連づけられます。
北の神々は、テツカトリポカ(創造の神、戦争の神)など、力強い神々が多く、知識や学び、または過去の時間と結びついています。北はしばしば冷静さや厳しさを象徴します。

東(ケツァルコアトル 風の神 ehecatl quetzalcoatl)

アステカ神話の知恵、風、創造、農業の神であり、名前はナワトル語で「ケツァル(鳥)」+「コアトル(蛇)」、つまり**「羽毛のある蛇(羽毛の蛇神)」**を意味します。 彼は人々に知識や文化を教えた神であり、戦争や生贄を好まない平和の神としても知られています。戦争や生贄を好まない平和な神第3の世界(火の太陽)を滅ぼしたのもケツァルコアトル。
- 雨の神トラロックが支配する時代だったが、ケツァルコアトルが怒り、火の雨を降らせて世界を滅ぼした。
- 現在の人間を作った神
風の神「エエカトル(Ehecatl)」**の別の姿ともされ、空を自由に駆ける神。
東は「新しい始まり」と「太陽の昇る場所」として象徴されます。
この方角に関連する神々は、主に生命の誕生と創造を司ります。例えば、アステカの創造神であるオメテオトルは東に関連することがあり、すべての生命の源であると考えられています。

西(キシペ・トテック 穀物の神 xipe totec )

アステカ神話の生命、豊穣、春、再生、戦争の神であり、名前の意味はナワトル語で「剥がれた皮を持つ我が主(Our Lord the Flayed One)」です。
彼は特に植物の成長と再生を象徴する神であり、また戦争や病気(特に皮膚病)を司る神としても信仰されました。新しい生命が古いものから生まれるという概念を象徴しています。
農業と豊穣の神戦争と生贄の神病気(特に皮膚病)を治す神「死と再生」の象徴として、自然のサイクルと戦争の文化の中で重要な役割を果たした神様でした。
西は「終わり」と「死後の世界」を象徴し、夜の時間と関係があります。
この方角には死や再生、過去と未来の連携を意味する神々が関連しており、ミクトランテクトリ(死の神)が関わることがあります。西方の神々は、再生の過程で死後の世界からの旅を表現します。

南(ヒーツィロポチュトリ 太陽神・軍神・狩猟神 Huitzilopochtli )

アステカ神話の戦争と太陽の神であり、アステカ帝国の守護神として最も重要な存在の一つナワトル語で**「南のハチドリ(Hummingbird of the South)」**という意味を持ち、戦士たちの守護神として崇拝されました。太陽を動かす神、戦争の守護神アステカ人(メシカ人)に「アステカ帝国の新しい都を作れ」と命じました。「湖の真ん中にある石の上で、サボテンに止まったワシが蛇を食べている場所を探せ」と指示、ついにその場所を見つけたアステカ人は、そこでテノチティトラン(現在のメキシコシティ)を建設しました。この伝説は、現在のメキシコの国旗のデザインにも影響を与えています。彼が示した「ワシが蛇を食べるサボテンの上」のシンボルは、現在のメキシコの国旗に描かれている。戦士の血を飲むことで太陽を動かす、生贄の儀式が行われた
アステカ神話の戦争と太陽の神であり、アステカ帝国の守護神でした。彼は戦士の神として崇拝され、特に戦争と生贄の儀式に深く関わる存在でした。彼の誕生神話では、生まれた瞬間に戦士となり、母を襲った兄弟たちを倒しました。また、彼の導きによってアステカ人はテノチティトランを建設し、その象徴は現在のメキシコ国旗にも受け継がれています。戦争と血の神としての役割を持ち、太陽を動かすために生贄の儀式が必要とされたことが、アステカ文化の中心的な信仰となっていました。

南は「熱」と「成長」を象徴し、生命の力が最も強い場所とされています。
南に関連する神々は、特に火や太陽の神であり、トナティウ(太陽神)が象徴的です。南はまた、成長や繁栄、生命力の象徴とされています。

今それぞれの方角の神々についてのお話をしました。
実際にどのようにセレモニーが行われたかというと、
そのそれぞれの方角に祈りをして、下(大地)にも上(太陽)にする


テマスカルのセレモニーでは、神聖な儀式の幕開けを告げるために、法螺貝の笛が吹かれ、シャーマンドラムの低く響く音が鳴り響く。この音色は、参加者の心を静め、精神を整える役割を果たし、大地と宇宙のエネルギーと調和するための準備を整える。

こうして、祈りが始まると、それぞれの方角の神様と火と水、風と土といったエレメントに敬意を払いながら、参加者は自身の内側と向き合い、テマスカルの入る準備をする、日本のサウナ文化にはないカルチャーで興味深かった!
浄化を目的でコーパルを使い煙を身体に燻す
テマスカルに入る前に必ず、煙を燻して、入る
煙の意味は「エネルギーの浄化」、「先祖や自然との調和つながり」意味する

僕的には普段日本ではやらないは祈りのセレモニーなので、一層特別な意識状態でテマスカルに向かうことができるって感じた。
いざテマスカルの中へ(母なる大地の子宮へ)
テマスカルの中に入ることは、母の子宮に戻ることを象徴しています。
さて、実際入ってみると、

中は天井が低く、こんな感じで真ん中に石を置くスペースがあり、その石を囲うように座る、中は暗く、全部で10人くらい入るテマスカルでした。

1時間半の溶岩を炎の中で
サウナストーンに使っているのは溶岩で。1時間半聖なる木を使って石を温め続けるみたいです、準備してる様子の写真も撮影させてもらいました。

13個のサウナストーンの意味はマヤの暦から

52個のサウナストーンを使い、4セットに分けて13個ずつ、中に入れていきます。この数字には、古代アステカやマヤの暦との深い関わりがあります。
マヤ・アステカ暦とテマスカルの関係
マヤ・アステカ文明では、13年を1つのサイクルとし、それが4つの世界があったとされている。13は古代の人々にとって「ひとつの時代の終わりと新たな始まり」を象徴する重要な数字でした。世界は過去に4回と創世と滅亡を繰り返し、現在は5つ目の世界って話。なんか神話、ファンタジーって感じ。

13個のサウナストーン× 4セット = 52個
13個のサウナストーン=13年に1つの世界終わり始まる
4セット=(4つの世界)
テマスカルは4つの世界を体感する

1つ目の世界「ある世界はジャガーによって滅びる」
2つ目の世界「ある世界は大嵐で風によって滅びる」
3つ目の世界「ある世界は大洪水で水によって滅びる」
4つ目の世界「ある世界は噴火で火によって滅びる」
この動画を見るとさらにマヤ・アステカ文明のこと知れるかと。
テマスカルに入ることは、マヤ・アステカ文明の4つの世界を体感するということを意味しているのかなと。
それぞれの世界は異なる方法で終焉を迎え、新しい世界へと移り変わっていきました。このような世界観を持ってサウナに入る国はメキシコくらいかなと!
最初はどういう意味かよくわからなかったけど、またそういう意味を知ってから入るとより理解して入れるのかもしれないなと!
余談としては今僕らがいるのは5つ目の世界らしく、最終的に「大地震によって終焉を迎える」と予言されています。
サウナ中で歌を一緒に捧げる
テマスカルの最初のセットでは、「愛」をテーマにセレモニーが進められます。
ここでいう愛とは、自分自身への愛、周囲の家族、友達への愛、そして自然や宇宙とのつながりを深める愛を言っていて
歌を捧げることが大切なセレモニーの一部となります。歌は、ただの音や言葉ではなく、魂を込めた祈りであり、声を通じて愛のエネルギーを場に広げる役割を果たします。最初はなんか歌うの恥ずかしかったけど、
歌うことで実際に心がオープンに解放され、テマスカルの中にいるすべての人のエネルギーがひとつになっていく感じ
この瞬間を通じて、愛のエネルギーが満ち、心と魂がひとつになり、より深い癒しとつながりを感じることができる感じがしました。どこか懐かしい聞いたことのある歌でした。

シャーマンドラムの心地よいリズムが響き始めると、それに合わせてロウリュがスタート。
熱せられた石に水が注がれ、ふわっと広がる蒸気が全身を包み込む。
じんわり温まる感覚と太鼓の振動がシンクロして、自然と深いリラックスへ。
音と熱と蒸気が一体となり、なんとも言えない心地よさが広がっていく。

サウナ中で炎のセレモニー儀式
サウナの中で炎のセレモニーが始まると、空気が一気に神聖なムードに。
サウナストーンの周りに火が灯り、その揺らめきに自然と意識が引き込まれる。
炎の熱と光が心を研ぎ澄ませ、まるで内側からエネルギーが満ちてくる感覚。
この瞬間、ただのサウナじゃなく、特別な体験へと変わっていく。まさに儀式!!

正直色々フィンランドやタイ、色々なサウナ行ってきたけど、サウナ室で炎つけたり、歌ったりなど体験したことのないことばかりで自分の中ではまた一つこのようなサウナ文化もあるという良い経験になりました。
このあとは、テーマや歌が変わったりして3セット行われ、全部でサウナ室の中にいたのは1時間くらいですかね?
歌は私たちの体は母なる大地、水は血液、風は息、火は魂、4つのエレメント、
メキシコでもウィスキング文化ある?

3セット目は生のローズマリー薬草で
体をウィスキング、調子悪いとこに叩いてと言われる。
ローズマリーや色んな薬草を束ねたものを振りながら、歌を歌いつつ体に優しく叩いていく。ハーブの香りが広がり、熱と一緒にじんわり浸透していく感覚がたまらない。

北欧フィンランドの文化も入っていて、サウナ文化もやはり世界共通部分もあるんだなとーと痛感。
水風呂は温かい薬草の水


1時間くらい暗いテマスカルの中にいて出ると、本当に解放された感がすごい!用意されてたのは、薬草が入った温かい水、ハーブの香りがふわっと広がり、心地よい温もりが肌を包み込みながら、じんわりと浸透していく。
熱くなった体を一気に冷やすのではなく、温かい水をかける。薬草の力を感じながら、まるで自然に抱かれるような癒しの時間が流れていく。
最後はフルーツたっぷり
テマスカル後に出してくれたフルーツとジュースが最高すぎた!!
バナナやベリーなどのフルーツが並び、ひと口頬張るたびに、甘みと爽やかさが体に染み渡る。
さらに、フレッシュなフルーツジュースで
サウナで浄化された体に、ビタミンとエネルギーをチャージして、心も体も満たされる瞬間でした!!!

相反する2つのものが一緒にあるオメテオトルの存在
儀式の間に繰り返し「オメテオ!」という言葉が唱えられることがあり、気になったので調べてみた。
オメテオトル-2原性の神と呼ばれ、
「光と闇」、「秩序と混沌」、「静と動」みたいな
相反する二つの性質を兼え備えたもの

アステカの人は、2つの対立するものがいることで新たなるものが創造されるとされたらしい
つまり対の思想を神格化したのがオメテオトル
テマスカルの中での重要な意味「調和とバランス」

テマスカルの儀式において重要な意味を持ちます。
儀式の間に繰り返し「オメテオ!」という言葉が唱えられることで
体を浄化するだけでなく、精神的な浄化も目指します。オメテオトルの力を借りて、参加者は内面的な調和を取り戻し、心身のバランスを整えることができます。オメテオトルの二元性の教えは、僕たちが生活の中でいろいろな問題や悩むことある中で、この2つのものが一緒に存在することは悪くない、むしろ2つがあって調和とバランスが取れて新しいものを創造するというのが僕にとっては良い気付きだったなと。
どーしても生きていて、マイナスのこと、プラスのことをある中でその思考の中でマイナスにならないようにしないといけないなと思っていたけど、
どっちもあることで本来見えない自己の両面と向き合うことで今以上の「新しい自分」との出会いがあるなとこの体験を通して、感じられたのでとても良い考え方だなと。昔の人はすごいなーとあまり神様とか信仰とかないけど、そういう考え方をすればまた新しい思考になるなと。
サウナって今まではそんなに深く考えることなかったけど、メキシコのテマスカルを体験する内に「内なる自己との対話」する機会が増えました。
テマスカルを通して、自分のより深いとこを向き合うみたいなところができたなという感じでした。
今回は通訳をつけてテマスカルの説明を受けたり、帰ってから分からなかったことを調べてまとめてみました。
メキシコでは6カ所のテマスカルを巡って、それぞれ全く違う体験ができたので、また改めて違うテマスカル体験談も書きたいと思います!

そして今年、メキシコでテマスカルツアーを企画するので、興味がある方はぜひ一緒に行きましょう!
日本では味わえない、本場のテマスカルで新しいサウナ体験を楽しみましょう🔥🌿